【Kindle雑感】『ジュライホテルのポーム』吉倉槇一

この手(どの手?)のKindle本をちょこちょこと読んで雑感を書いてみる企画、その2です。前回はこちら。

http://bkk9.net/2016/03/23/kindle-bangkok-outlaw/

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さて。この電子書籍の舞台である『ジュライホテル』。『ジュライ』と呼ばれたこのホテルは、ある程度の年代のバンコク好き、バックパッカーの人達には、それなりの響きや、ある種の感情が沸き起こるのでは無いかと思います。楽宮とか、台北、と言ったホテルの名前とともに。『ジュライ』とはバンコクの中華街付近「7月22日ロータリー」そばに建つホテルです。売春やドラッグの温床としてその名を馳せていました。この電子書籍は、そのジュライにまつわる日本人沈没者たち(あえて沈没と書きますね)と、そこにいた『ポーム』という1996年に亡くなったと言われる女性というか、女の子(個人的には『ポンちゃん』という風に聞いてきました)を軸とした話です。ボクは、彼女が亡くなったと言われる頃にもバンコクには来ていましたが、リアルタイムであまりあの界隈には関わったことはなく(ヤワラーには行っていましたが)、友人の友人にあのホテルの住人が居る、という程度でした。

作者自体も、この体験をリアルタイムで過ごしているわけではなく、ネットや本、伝聞などの追体験からこの本を作り上げた様ですが、それがいい方向に作用しているんじゃないかと思いました。作者の視線は、なんというか、ジュライに対しての過剰な思い入れや、擁護などがなく、淡々と事実を積み重ねていっているという感じで、そこがイイ距離感になっています。写真が多くあるのも、個人的にはとても良かったです(ポーム自身の写真も何点か載っていました)。

当時の空気感とか、ジュライのけだるい雰囲気、暑さなどが伝わって来る感じで、アノ頃のヤワラーはドコにも無い場所だったんだろうなぁというのが、様々な事実から滲み出してくるようです。冷気茶屋の成り立ち過程とか、ふむふむ…という感じでした。今のきらびやかなバンコクを楽しんでいる若い方々も、当時に思いを馳せつつ、じっとりとした空気感を読んでみるのも面白いかもしれません。もちろん、どれが本当の事実かというのは、今となってはわからないことも多いんだとは思いますが、歴史の一端を知るのにはいいと思います。

そうえいば、687ページで250円とは安い!と思ったんですが、どうもページあたりの文字数を相当少なく設定しているみたいで、実際はそんなにページ数多くないです。これは設定が間違ってるのかな?

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